ゲームも粗方クリアしてて、いい感じの獲物も見つからない。
そんな休日。



おやすみの日



もうコートは必要ないくらいに暖かく。
けれどまだ少し風は肌寒い。
そんな春の日の事。




駅前の本屋で暇つぶしになりそうなモノを探すも、結局いいのは見つからず。
時間だけを無駄にしたような、そんな気分になった。

(なんかイイ感じの刺激が欲しい・・・)

世界はやたらとほのぼのしてて。
それはそれで良いのだが、こう連日平和だとさすがに飽きてくる。
大きく欠伸をひとつ。
中森警部の怒号が懐かしく思ってしまうのは悪い事なのだろうか・・・。

やっぱり、欠伸がひとつ。







ふと。雑踏の中。目が引かれて。
視線を遣れば、そこに。


肩にかかる長さの髪。
花柄のブラウスに白い春物のコート。
ジーンズ地のスカート。
風が吹いて髪を掻きあげるその仕草。
見慣れない格好の見慣れた少女。


(青子)


丁度、歩道の向こう側。
同じ信号が青になるのを待っている。








信号が赤から青へ。
歩行者が一斉に動き出す。


俺は歩きながらも目は青子に釘付けで。
気付けと小さく呟いた。

まるでその声が聞こえたかのように青子の視線がコチラへと動く。
俺に気づき、そこで止まる。
目を丸くして、口の形が「あ」で固まる。



口元が緩むのを必死で耐える。




「快斗ぉ?」
驚いたような声。
だけど驚いたのは俺も同じで。

「よぉ」
ポケットに手を突っ込んだままいつもの様に返す。
たとえここが横断歩道の丁度真ん中でも。

「こんな所で会うなんて、奇遇だねー」
「だな」


ふわりと。それこそ花が咲くように笑うから。



俺は口の端に笑みがこぼれるのを押さえられない。







「どっか遊びに行くか?」
「うん!」




END





お休みだからって引き篭もってばっかじゃダメだぞ。
たまには出かけてみれば?
何か良い事あるかもよ?
ってお話。