ラビット 「もう!こんなところにいたっ!」 うららかな春の日。 天気は快晴。 風が静かにそよぎ、春の香りを運んでいる。 快斗はいつも通り屋上でエスケープ中。 暖かな日差しの下、心地よい眠りに誘われていた。 屋上の真ん中でごろりと横になっていた快斗は上から聞こえてきた声に薄目を開けた。 そこには予想通りの少女の姿があった。 顔はいかにも怒ってますといった顔で、頬を膨らませている。 腕を胸元で組み仁王立ちし、コチラを見下ろす少女。 快斗は大きく欠伸をしてから声をかける。 「なんだよ、青子」 「いいご身分ね、サボリのくせに」 欠伸をしたときに潤んだ目を擦りながら快斗はもう1度欠伸をする。 ふわりと風がそよぎ、青子の髪が揺れる。 「ついつい春の香りに誘われてね☆」 「良く言うわよ」 は。と青子は半眼になる。 「おかげでこっちは校内を探し回ったってのに」 「探すって青子が俺を?」 よっと。という掛け声と共に快斗は寝転んでいた屋上の床から立ち上がる。 「そ。田中先生が教員室でお待ちよ」 「田中ぁ〜?」 ち。と顔を歪める快斗に青子はいい気味だとばかりに笑う。 「たまにはたっぷり絞られてくれば?」 「あ、そうだ。」 屋上と校舎を繋ぐ唯一の扉のノブを掴み、いまにも開けようかという、その時に。 本当にいま気が付いたとばかりに快斗は足を止める。 「青子」 「?」 青子が首を傾げるのと、快斗が青子へと振り返ったのはほぼ同時で。 にやりと口の端を歪める快斗に、青子は反射的に嫌な予感を覚える。 「高2になってまでウサギ柄はどーかと思うぜ?」 その言葉を理解するまで青子はきっかり10秒は必要とした。 「―――なっ!!!」 青子は風も吹いていないのに勢い良くスカートを押さえる。 顔を真っ赤にして、信じられないと小さく呟く。 「もーちょっと色気のあるヤツ穿けよなー」 左手をポケットへ突っ込みもう片方をひらひらとさせながら、快斗は悠々とドアの向こう側へと消えていく。 真っ赤になったまま固まった青子は快斗の姿が見えなくなってからやっと動き出せた。 「・・・こ・・・・この・・・・」 ぐっと拳に力がこもる。 「このバ快斗!!!」 たとえ相手が聞いていなくとも青子にはこう叫ぶしかなかった。 天気は快晴。 風は肌に心地よく。 どこか春の匂いのする日の出来事。 |
風は髪だけでなくスカートもめくってたわけです。 分かりにくくてすみません。 高2になったばかりの2人。 この頃の快斗はキッドじゃないんですよね・・・ なんか変な感じ。 |